さいたま赤十字病院

臨床工学技術課

臨床工学技術課の概要

現在、当院の医療技術部臨床工学技術課では、医療技術部長(医師)、医療技術部副部長である技師長と調整監、そして第一臨床工学課長、第二臨床工学課長、配下に医療機器・血液浄化係長、救急・循環業務係長、手術・集中治療係長と部門ごとに管理者を配置して責任分担を明確にしています。

また、専任者は置かずにローテション業務導入の取り組みも行っており、幅広く業務対応できる部門として組織の運営を進めています。

業務は日勤帯と夜勤帯での2交代制で行い、24時間体制で業務を行っています。休日の血液浄化室勤務には2名のスタッフが出勤します。心臓外科の緊急手術と、植え込みペースメーカ関連業務においてはオンコール体制で対応をしています。

※日赤技士会のリンク  日本赤十字社臨床工学技士会 (umin.ac.jp)

ME室

1.臨床工学技術課の方針

  1. 医療現場では高度な医療機器が扱われており、その専門職として安全な機器の管理に勤める。
  2. チーム医療の一員として、他職種と綿密な連携と関係構築を図り、安全な医療のため質の高い臨床技術を提供する。
  3. 仕事と生活の両立を支援し、心身ともに健康に働ける職場環境 作りに取り組む。

第一臨床工学課長

2.臨床工学技士 人員

22名(2023年4月現在)

3.医療技術部 臨床工学技術課 組織図(2023.4現在)

4.部署の業務紹介

① 血液浄化室業務

血液浄化室は感染症対策のための個室を2部屋完備し、計15床で入院・外来の血液透析を中心に行っています。また透析支援システム(Diacom)を導入し電子カルテと連携を図っています。セントラル透析液供給システム(CDDS)のコンソールは、オンライン対応機種11台を含む計12台でRO装置からコンソール末端まで熱水消毒を行っています。個人用透析装置は4台所有し、処方透析や血液浄化室に出療できない重症患者さんに、病棟への出張透析が可能です。透析業務だけではなく様々なアフェレシス療法や末梢血幹細胞採取も行っています。

血液浄化の臨床業務の他、血液浄化装置の点検、調整などの機器管理を行い、安全な透析医療への技術提供を行っており、シャントエコー測定やエコー下穿刺等も積極的に行っています。

② 医療機器管理業務

生命維持管理装置をはじめ、管理機器約1600台を中央管理し、貸出・返却・保守点検を行っています。さらに医療機器に関する窓口業務を行うことで中央管理以外の機器も随時対応し、より多くの医療機器の安全確保に努めています。日常業務として、人工呼吸器・ECMO(PCPS)・Impella・IABPなどの生命維持管理装置に対しての安全管理ラウンドを実施し、医師、看護師、理学療法士とともに人工呼吸器やその他酸素療法を使用中の患者さんの呼吸ケアサポートを行うRST(Respiratory care Support Team)への参加や情報提供をして協力体制を構築しています。また、院内スタッフ向けに医療機器の勉強会の実施や医療機器に関する情報を配信し、より安全な医療が提供できるように心がけています。

③ 手術室業務

心臓血管外科手術における人工心肺装置の術中操作や管理を行っており、教育にも力を入れています。また、自己血回収装置の準備・操作も行っています。近年人工心肺を使用しない経カテーテル的大動脈弁置換術(TAVI)と、最近では低侵襲な僧帽弁閉鎖不全症の修復術であるMitra Clip も開始し、臨床工学技士も積極的に携わっています。また、夜間・休日の緊急手術にはオンコール体制で対応を行っています。

更に、手術が円滑かつ安全に行なえるよう、手術室の機器(内視鏡、電気メスなど)の確認・保守管理・トラブル対応に取り組んでいます。2021年より低侵襲手術支援ロボット「da Vinci Xi」が導入されました。da Vinci手術の開始に向けワーキング・グループを設置し臨床工学技士も一員として準備を進めてきました。2021年2月19日に「ロボット支援下手術」が当院での初症例となり、業務としては手術の準備から介助とトラブル対応を行っています。ロボット支援下手術は2023年3月までで440症例行われています。

④集中治療室業務

臨床工学技士は集中治療室業務では、生命維持管理装置を中心に呼吸・循環・代謝に関わる装置や循環動態モニタ等の保守管理を行っています。人工呼吸器の管理においては日々ラウンドを実施し、安全管理に努めています。また、Mechanical Circulatory Supportである補助循環装置(ECMO,IABP,Impella)の導入には必ず立ち会いを行っています。血液浄化療法においては、患者の病態や状態に合わせて医師の指示のもと集中治療室での間欠的・持続的血液浄化療法に従事し、集中治療業務において生命維持管理装置に携わる場合主に管理方法に力を入れています。集中治療室では医師を中心に看護師・薬剤師・理学療法士・管理栄養士など多職種が携わり情報共有を行い治療の向上に寄与しています。当院の臨床工学技士もチームの一員として、情報共有と病態に合わせた生命維持管理装置の設定や管理の提案ができるよう部署の確立に努めています。

⑤高度救命救急センター

高度救命救急センターでは心肺停止の患者さんに対するECPR(体外循環式心肺蘇生法)に携わっています。当院の高度救命救急センターは2021年4月に初療室・CT・アンギオ・手術室の4つの機能を備えたHYBRID ER室が設置され、同年7月よりHYBRID ER室でのECPRを開始しました。この運用によりECMO導入後のCT撮影の移動がなくなり、アンギオ装置も備えているためそのままImpella導入、冠動脈造影検査や治療を行うことができるようになりました。HYBRID ER室でのECPRには救急科医師、循環器科医師、看護師、放射線技師、臨床工学技士など多職種が携わっているため、定期的にシミュレーションを行って、迅速かつ安全な対応ができるように心がけています。

⑥循環器業務(心臓カテーテル、植え込みペースメーカー)

当院の心臓カテーテル室は2室あり、主に虚血の治療を行う部屋と不整脈治療を行う部屋に分かれています。その他に症例が多い日は別の血管造影室を使用したり、ECPRが必要な場合は救急の血管造影室も使用し、最大4部屋稼働することがあります。虚血部門ではポリグラフ・IVUS・OFDIの操作、ローターブレ―タ・OASの準備を行っています。その他に補助循環装置(IABP・ECMO・Impella)の準備から操作も行います。

不整脈部門ではカテーテルアブレーション業務において、主に3Dマッピングシステム(CARTO・Ensite・Rhythmia)、心内心電図解析装置、心刺激装置の操作を行っています。各機器の最新のシステムも導入して医師と共に治療の最先端を進むよう努力しています。ペースメーカ関連業務では、新規植込み・交換、リード抜去の立会いを行いプログラマの操作やエキシマレーザーの準備を行っています。デバイスの種類はCRTDやS-ICD、リードレスペースメーカなど幅広く対応しています。

 

ペースメーカ関連業務ではその他、に病棟・外来でのチェック、遠隔モニタリングの管理・導入なども行っています。夜間・休日においてはオンコール体制で対応を行っています。

⑦高気圧酸素療法業務

当院では2017年1月の新病院移転に伴い、高度救命救急センターに高気圧酸素療法室が新設され、第1種装置(1人用)が1台設置されました。適応疾患は急性の一酸化炭素中毒、突発性難聴、脳梗塞、腸閉塞など様々な病気に対して治療を行っています。臨床工学技士は機器の始業点検・操作だけでなく、治療を受ける前に所持品チェックリストを用いて患者さんの確認を厳重に行い、安全に業務に従事しています。

5.赤十字の活動(DMAT・救護班)

当院の臨床工学技士は通常業務の他に、災害医療の活動にも携わっています。ロジスティクスとしてDMAT・日赤救護班に携わり、実地訓練や研修等の参加をしています。

6.各委員会等での院内活動

臨床工学技士が関わっている(委員を務めている)委員会の一覧。

その他にも各委員会における小委員会にも関わっている。

  • 購買委員会
  • 医療安全推進委員会
  • 安全衛生委員会
  • 診療材料検討委員会
  • 病院救命救急委員会
  • 院内感染対策委員会
  • 手術室運営委員会
  • 災害対策連絡会
  • 医療ガス安全管理委員会
  • 医療の質向上委員会
  • 医療情報システム委員会
  • 広報委員会
  • 医療サービス検討委員会
  • 省エネルギー推進委員会
  • 院内表彰検討委員会
  • 情報セキュリティ委員会
  • 働き方改革推進委員会

7.国家資格・認定等の各取得数(2023.4現在)

認定資格・国家資格 取得人数
日本透析医学会透析技術認定士 11
3学会合同呼吸療法認定士 11
日本人工臓器学会体外循環技術認定士 3
日本生体医工学会 第2種ME技術術力試験合格 19
日本生体医工学会 第1種ME技術術力試験合格 3
日本生体医工学会 日本医療機器学会臨床ME認定士 1
日本アフェレシス学会認定士 1
透析技能検定試験制度協議会透析技能3級検定試験合格 1
日本不整脈心電学会 CDR認定 1
日本不整脈心電学会 植込み型心臓デバイス認定士 2
日本不整脈心電学会 心電図検定2級合格 2
日本不整脈心電学会 心電図検定1級合格 1
日本医療機器学会 医療機器情報コミュニケータ(MDIC) 3
日本救急医学会認定ICLSコース修了 4
日本BLS協会(AHA)BLSヘルスプロバイダー 1
日本DMAT ロジスティックス 1
血液浄化専門臨床工学技士 2
不整脈治療専門臨床工学技士 2
認定集中治療関連臨床工学技士 2
第一種衛生管理者 1
臨床検査技師 2

大学院博士前期課程修了者  学位(修士)        3名